練習時間は「量」より「種類」で設計する -- 同じ1時間の中身をほどく
「毎日1時間は必ず触っているのに、なんだか同じ試合を繰り返している気がする」。練習のつもりで時間を積み上げているのに、中身が惰性っぽくなってきた感覚、結構あるあるじゃないだろうか。前STEPでは試合と練習の役割のちがいを扱ったけれど、今回はもう一歩踏み込んで「同じ1時間でも設計次第で中身が変わる」という話を具体的に並べていきたい。
1時間のメニューを「1種類」で使い切らない
まず陥りやすいパターンとして、1時間まるごとランクマッチだけに使ってしまうケースがある。ランクマッチは緊張感があって手応えもある。でも、1種類の練習で1時間を塗りつぶすと、その時間の中で得られる情報が偏る傾向がある。同じ操作、同じ判断、同じ感情の波。これを60分続けると、後半は頭がその状態に馴染みすぎて、新しい気づきが入りにくくなる。
運動系の練習科学では、同じ運動を反復するだけよりも、性質の違う動きを混ぜて反復するほうが身につきやすい、という話がよく出てくる。ゲームでもこの原理は似たところで働いていて、1時間を「種類のミックス」で設計できると、同じ時間でも濃度が変わる。
3種類に分ける、という分け方の型
試しに、1時間を3つのブロックに分けてみるのはどうだろう。たとえばこんな配分がある。
- 15分: 軽い復習と体慣らし -- トレーニングモードで基本操作を流す時間。体と目を画面に合わせる準備のパート
- 30分: 試す時間 -- カジュアルや練習試合で、普段避けている戦術・選手・フォーメーションを触る時間
- 15分: 本番感覚の時間 -- ランクマッチを1〜2試合だけ、集中して取り組む時間
これだけでも、同じ60分が全然違う形になる。ポイントは、本番っぽい時間を意図的に短く保っていることだ。短く保っているからこそ集中できるし、短く終えているからこそ疲弊しきらずに次の日にも同じ構造を組みやすい。
「種類」は練習の目的と結びつく
1時間を分ける話をもう少し深めると、ブロックごとに別々の目的を持たせているという視点が見えてくる。1つ目のブロックは感覚の補正、2つ目は引き出しの増設、3つ目は現時点の実力の確認。目的が別なら、同じ操作でも得られるものが変わってくる。
ここで意識しておきたいのは、目的が曖昧なブロックはどうしても惰性化しやすいという事実だ。「とりあえずランクマ」「なんとなくトレーニングモード」という入り方だと、時間だけが流れて体感として得られるものが薄くなりがちになる。逆に、短くていいから「このブロックは何のためにやるのか」を口に出してから入ると、同じ動きをしていても吸収できる情報量が変わってくる。
1週間単位で眺めてみる
日単位で3ブロックを組み続けるのがしんどい人は、1週間単位で設計を分散させる手もある。月曜と木曜は「試す日」、火曜と金曜は「確認日」、水曜と土曜は「感覚日」、日曜は休養、みたいに配分すると、1日あたりの負担が軽くなる。週の中で種類が散っていれば、同じ1週間でも拾える経験の幅が広がる。
大切なのは「今日は何の日か」を自分の中で言語化しておくことだ。日ごとのテーマが薄い状態で毎日プレイしていると、どの日もなんとなく似た景色になってしまう。テーマをつけるだけで、同じ曜日の連続が、7色のグラデーションになってくる感覚がある。
ハマりすぎない配分も、練習の一部
最後に、3ブロック設計を試すうえで気を付けたい点をひとつ。上級者の動画やプロの練習メニューをそのままコピーしようとすると、中級者にはオーバーワークになる場合が多い。向こうはそれを本業として、体の回復も含めた環境で動かしている。自分の生活リズムに合わせて、少し軽めに組むくらいで丁度いい。
「頑張りすぎて週末に燃え尽きる」のは、練習設計としては失敗に分類される。長く続けられる重さで回し続けられるかどうかも、立派な練習メニューの要素のひとつだと捉え直してみてほしい。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。