何を見るか -- 偵察の観察ポイントを5つに絞る
「偵察には行けるようになったのに、帰ってきた後、結局何が分かったのか自分でも説明できない」STEP1の2分偵察を数戦試したあたりで、多くの人がぶつかる次の壁がこれだ。ユニットを出せるようになったことと、その目線で何かを掴めるようになったことのあいだには、もうひとつ階段がある。ここでは、その階段を5段の観察ポイントに分解していこう。
「見る」は自然にはできない
相手の拠点まで偵察ユニットを走らせた時、たいていの初心者は画面をぼんやり眺めて終わる。何を見ればいいのかが分からないまま、とりあえず映像として流し見してしまう、というあの感覚だ。頭の中には情報が通り過ぎていくけれど、手元には何も残らない。
これは注意不足ではなく、観察の型が入っていないだけの状態だったりする。写真を撮るのとメモを取るのが違うのと同じように、見ることと情報にすることのあいだには別のスキルが挟まっている。そのスキルは「何を見るか」を先に決めておくことで、ある程度まで補える。
観察ポイント1 -- 生産建物の種類と数
最初に目を向けるのは、相手が立てている生産建物(ユニットを作るための施設)だ。歩兵系なのか、騎兵系なのか、魔法系なのか、空軍系なのか。この「何を作るための建物なのか」の輪郭だけでも、相手の戦術の傾向がぼんやり見えてくる。
数にも意味がある。同じ種類の生産建物が2棟3棟と並んでいたら、そのユニット種を主軸に据えているサイン。1棟だけなら補助的な扱いかもしれない。細かい数字を覚えなくていい。「種類」と「多いか少ないか」の2軸で眺める癖から始めてみよう。
観察ポイント2 -- 拡張している拠点の数
自陣のほかに、2つ目・3つ目の拠点を立てているかどうかは、相手の思考の方向性を読む上で大きなヒントになる。多くのRTSで、複数拠点(マルチ。初期拠点以外に資源採取用の新しい本拠点を立てる行動)に早めに動いているプレイヤーは、序盤の戦闘を避けて経済を太くする方向に振っている場合が多い。
逆に拡張が見えないまま軍備を進めているなら、早めの仕掛けを準備しているサインの場合もある。「見えない」という情報にも意味があるのが、この観察ポイントの面白いところだ。
観察ポイント3 -- 資源採取の位置と量
農民(労働ユニット全般の俗称)がどの資源地に貼りついているかも、観察の対象になる。金鉱メインで張っているのか、木材地帯が厚いのか。これは相手が次に作るユニットや技術のヒントになる場合が多い。
数も意識したい。10体程度なら序盤の標準、20体を超えていたら経済を大きく伸ばしている途中、といった肌感覚のレンジが頭に入っていると、一瞬の観察でも状態を仮定できるようになる。
観察ポイント4 -- 壁と塔、防御の厚み
相手の入口付近に壁や防御塔(敵ユニットを自動で攻撃する防御建築)が厚めに置かれているかどうかは、仕掛けの可否を判断する材料になる。壁が厚ければ序盤の押し込みは難しく、薄ければ少数の奇襲でも効く場面が多い。
逆に、壁が一切ないのに軍が見えない時は、攻めに出てきている途中の可能性もある。空っぽの家を見て「誰もいない」ではなく「どこに出かけているのか」と考える視点が、ここでは効いてくる。
観察ポイント5 -- 動線と進軍ルート
最後の観察ポイントは、相手の動線だ。農民がどの方向に動いているか、軍ユニットがどこに集まっているか、偵察ユニットを避けるように動いているか。動きのパターンには、次の行動の予告が含まれていることが多い。
特に、相手の本隊が見えない場所にまとまって待機しているのを見つけたら、攻めの準備をしているサインの場合が多い。自陣に帰ってきた直後の数十秒を、攻めが来ない前提で動かないようにしたい場面だ。
1戦で5つ全部は見なくていい
ここまで5つ並べたけれど、1戦の偵察で全部を拾おうとしなくて大丈夫。序盤の偵察ではどれかひとつに絞って、次の偵察で別のひとつ、という積み上げ方のほうがずっと続きやすい。
- 1戦目 -- 生産建物の種類だけ見る
- 2戦目 -- 拠点の数だけ見る
- 3戦目 -- 資源採取の位置だけ見る
最初は面倒に感じるかもしれないけれど、3戦ずつで1ポイントを体に染み込ませていくと、全部で15戦くらいの間に観察の型ができてくる場合が多い。焦らなくて大丈夫。
自己診断 -- 観察の型が自分に合い始めたか
- 生産建物 -- 相手のユニット軸を1試合に1回でも言葉にできるようになったか
- 拠点数 -- マルチの有無を意識する癖がついてきたか
- 資源採取 -- 農民数の感覚値が少しずつ身についてきたか
- 防御の厚み -- 壁や塔の有無を見る視線が自分の手の内にあるか
- 動線 -- 相手の軍ユニットの位置を気にかけている瞬間があるか
全部にチェックが入らなくても大丈夫。5つのうちの2つに手がかかっていれば、偵察の目線はすでに前進している。
最初の一歩 -- 次の1戦、1ポイントだけ持ち帰る
今日の次の1戦では、上の5つの中からひとつだけ選んで、それだけを見て帰ってくる、という縛りを試してみよう。ユニットを失ってもいい。情報が取れなくてもいい。「今日は生産建物の種類を見に行く」と決めて出発するだけで、画面の見え方がほんの少しだけ変わる。
情報を1点だけ持ち帰ったら、その試合が終わった後に「見たものはどれで、それは自分の動きに何か影響したか」を1行だけ振り返る。紙でもメモアプリでもいい。1行でいい。観察は振り返りで初めて記憶になる場合が多いからだ。
このSTEPのまとめ
- 観察の型 -- 5つのポイント(生産建物/拠点数/資源採取/防御/動線)
- 絞り込み -- 1戦で全部見ようとしない、1ポイント縛りのすすめ
- 記憶化 -- 1行の振り返りで、観察を情報に変える
- 積み上げ -- 15戦くらいのスパンで、観察の型が体に染みていく
偵察ユニットを出せるようになったところから、見て、掴んで、持ち帰るところまで。この階段は何段にも分かれていて、無理に一段で駆け上がる必要はないジャンルだったりする。1段ずつ刻めば、気づいたときには何戦か前の自分よりも盤面が少しだけ明るく見えているはずだ。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。