ゲームクロックを刻む、時間で自分の動きを把握する
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。
「気づいたら終盤で負けていた」。RTS(リアルタイムストラテジー。プレイヤー同士が並行して手を動かし、経済・軍事・情報を競り合うジャンル)や、ユニットが自動で戦うオートバトラーに触りたての頃、覚えのある人は多いと思う。何が悪かったのか分からないまま時計が進み、相手の軍勢に押し流されていく。あの感覚は、個々の操作が未熟だからというより、「今ゲーム内で何分が経過していて、自分は何をしているはずの時間なのか」という時計感覚が育っていないことのほうが大きい。
最初の一歩は、華やかなマイクロ(個別ユニットの細かい操作)ではなく、ゲームクロックの読み方から始めたい。自分のアクションにタイムスタンプを付けていく練習、と言い換えてもいい。
時計を見るだけで、動きが変わる
一緒にやってほしいのは、対戦画面の経過時間をちらっと視界に入れる、ただそれだけだ。多くのRTSやオートバトラーは、画面のどこかに「0:00から始まる試合経過時間」が表示されている。初心者の目は味方ユニットや敵軍勢ばかりを追ってしまい、この時計をほとんど見ない。時計は地味なのだ。華やかな交戦の横で、黙々と数字が進んでいくだけの存在でしかない。それでも、勝ち負けの大半はこの数字と、自分の手元の間にある「ずれ」から生まれていく。
1試合の途中で、試しに3回だけ時計を見る習慣をつけてみよう。たとえば2分、5分、8分のタイミング。そのとき自分の手元で何が起きているかを、一度だけ意識してほしい。労働ユニット(資源を集める働き手)の数はいくつか。兵舎や生産施設は動いているか。次のアップグレード(強化研究)に手を伸ばせているか。見るべきはこの3点だけでいい。欲張って他のものまで見ようとすると、結局どれも覚えていない状態で試合が進んでしまう。覚えきれないくらいなら、3点のうち1点でも構わない。1点でも時計と紐づいた記憶が残れば、試合後のふりかえりが急に具体的になる。
なぜ時計なのか、地図ではなく
「それなら地図を見ればいいのでは」と思うかもしれない。情報量で言えばミニマップ(画面端の縮小地図)の方がずっと多い。ただし初級〜中級手前の段階で地図を睨んでも、読み取れる情報が処理しきれず、結局目だけが泳いでしまう場合が多い。地図は、読み取るための文法を身につけてからが本番の道具だ。
時計はそれに比べて情報量が少ない。数字がひとつ進むだけだ。その代わり、自分の行動と1対1で紐づけやすい。「2分の時点でまだ施設がひとつも立っていない」「5分で労働ユニットの増員が止まっている」。こうした事実は、時計を見なければ拾えない。ゲーム内の景色をすべて把握しようとする前に、まず時間軸という1本の補助線を自分の中に引く作業だ。補助線が1本あるだけで、散らかっていた試合の記憶に順番がつきはじめる。
STEP1でやる最小ドリル
いきなり全部を整えようとしなくて大丈夫。今日の練習はこれだけに絞ってみよう。
- 試合開始直後、時計が0:30前後でまず労働ユニットの生産が切れていないか確認したか
- 2分前後で「次に作るもの」がはっきり決まっていたか
- 5分前後で自分の経済(資源収集ラインの太さ)が序盤と比べて伸びているか
- 8分前後で、攻めか守りか、どちらの体勢を取ろうとしているかを自分の言葉で言えたか
4項目をすべて同時に意識するのは難しい。最初の数試合は「2分のチェックだけ」でいい。慣れてきたら5分を足す。それで1日の練習は十分だと考えている選手は少なくない。
時計を見られると、負けの輪郭が見える
時計を意識して数試合こなすと、敗北の手触りが少し変わってくるはずだ。以前は「なんとなく押し負けた」と感じていた試合が、「5分の時点で労働ユニットが12のまま止まっていて、相手が16くらいだったっぽい」という具体的な仮説に変わる。原因がひとつの数字に結び付くと、次の試合で直すべき場所が明確になる。
この段階ではまだ、何分に何体の労働ユニットが理想か、といった細かい数字は覚えなくていい。大事なのは「時計と自分の手元をセットで見る」という癖だけだ。ビルドオーダー(序盤から中盤にかけての行動手順の型)や偵察の話は、この癖が身体になじんでからでも遅くない。
今日の試合で、まず2分の時点で一度だけ時計を見てみよう。静かにちらっと、ただ数字を拾うだけの行動だ。それで十分、ここから始まる。





