相手の動きを3種類に分類する -- 全部覚えようとしない
「相手のビルドを覚えないと対応できない」と思い込んで、ビルドの一覧を暗記しようとしては挫折する。adaptの練習を始めた人がよくぶつまる頭の中の壁だ。対応の練習は暗記の方向に行きがちだけれど、暗記を続けても頭のキャパが先に切れる。このSTEPでは、対応の入口を「暗記」ではなく「分類」に置き換える練習をしよう。
暗記では追いつかない理由
対戦相手のビルドや戦術には、ゲームによって何十種類、ものによっては100を超えるパターンが存在する。全部を覚えようとすると、ビルド名と特徴と対策の3セットを暗記する作業になる。試験勉強のような負担が、試合のたびに発生してしまう。
もうひとつの問題は、暗記したパターンは試合中に瞬時に引き出す必要があるという点だ。画面の情報を見ながら、何十種類の中から1つを選び、その対策を思い出す。この処理が1秒以内に回らないと、対応の意味がない。暗記の方向で解こうとすると、どうしても処理が重くなる。
分類という軽い道具
分類は、暗記より軽い道具だ。何十種類のパターンを、少数のカテゴリにまとめる発想になる。カテゴリの数が3つか4つなら、試合中でも瞬時に選択できる。選んだカテゴリの中で、一般的な対応を取ればいい。完璧な対応ではなくても、大外ししない範囲の対応が取れる。
分類の良さは、「知らないビルドでも対応できる」ところにある。初めて見るビルドでも、そのビルドがどのカテゴリに属しそうかを判断するだけで、一定の対応が取れる。暗記の完璧性を捨てる代わりに、未知に対する強さを手に入れる取引だ。
3種類の分類 -- 攻め・守り・中庸
分類の数は少ないほど使いやすい。ここでは3種類に絞ってみよう。
- 攻め型(ラッシュ系) -- 序盤から軍を出して圧をかけてくる動き
- 守り型(エコノミー系) -- 経済を伸ばして中盤以降で押し切る動き
- 中庸型(スタンダード系) -- 攻めと守りの中間、オーソドックスな動き
多くのビルドは、この3つのどれかに属している。細かい違いはあっても、大きな方向性としてはこの3種類に収まる場面が多い。3種類なら頭の中に常駐させられる。試合中に「相手は今どれか」を判断するだけで、対応の骨格が決まる。
分類の判断材料 -- 偵察とタイミング
相手がどのカテゴリに属するかを判断する材料は、序盤の偵察から拾える。拾う対象は主に次の3つだ。
- 序盤の軍ユニットの有無 -- 2分時点で軍が見えていれば攻め型の可能性が高い
- 拡張のタイミング -- 早めに拡張しているなら守り型寄り
- 資源と生産のバランス -- 資源に余裕があるなら中庸型、カツカツなら攻めか守りに振り切っている
この3つを序盤に軽く確認するだけで、相手のカテゴリに仮説が立つ。仮説は外れても構わない。仮説を持って観察するのと、何の前提もなく観察するのとでは、情報の拾い方がまるで違う。
カテゴリ別の対応の骨格
分類ができた後、それぞれに対する対応の骨格を持っておくと動きやすい。骨格なので完璧である必要はない。
- 相手が攻め型なら -- 防御を厚くして、序盤のピークを耐えたら経済で上回る
- 相手が守り型なら -- こちらも経済寄りに回して、中盤の火力を合わせる
- 相手が中庸型なら -- こちらもオーソドックスに回して、マイクロやマクロの質で勝負する
この3パターンを頭に入れておくだけで、試合中の迷いが1段減る。完璧な対応ではないけれど、大外しはしない対応が取れる。大外ししない、というのは対応力の練習初期には大きな価値を持つ。
分類が外れた時の修正
分類は、外れることがある。序盤は攻め型に見えたのに、実は守り型だった。その逆もある。この外れに気づいた瞬間に、対応を切り替えられるかが次の練習対象になる。
切り替えの基本は、「新しい情報が入った時に、分類を更新する」ことだ。最初の仮説にしがみつかず、観察を続けて、分類が違うと感じたらすぐに対応の骨格を切り替える。この切り替えの素早さが、対応力の精度を上げていく。
自分の試合を分類の目で振り返る
対応の練習として、自分が戦った相手を試合後に分類してみる発想もある。「今日の相手は攻め型が3試合、守り型が2試合、中庸型が5試合」という具合に、分類の目でリプレイを振り返る。
これを続けると、自分がどのカテゴリに対して弱いかが見えてくる。攻め型に弱いのか、守り型に弱いのか、中庸型で競り負けるのか。弱さが見えたら、そのカテゴリへの対応を重点的に練習できる。分類は対応の道具であると同時に、自己分析の道具でもある。
分類は仮のもの、という意識
最後にひとつ注意点を。分類は便利な道具だけれど、絶対的なものではない。実戦では3つのカテゴリに収まらない動きも当然ある。ハイブリッド型や奇襲型など、分類の枠から外れる動きも存在する。
分類はあくまで「初期対応を決めるための仮の道具」として扱うのが安全だ。分類が効かない相手に遭遇した時は、分類を捨てて観察し直せばいい。道具は使いこなすためのもので、道具に縛られるものではない。
自己診断 -- 分類の発想が入ったか
- 暗記からの脱出 -- 全部覚えようとする発想から離れられたか
- 3種類の分類 -- 攻め・守り・中庸を頭の中に常駐させられたか
- 判断材料 -- 序盤の偵察で分類の仮説を立てる癖があるか
- 対応の骨格 -- カテゴリ別の初期対応を持っているか
- 修正の柔軟さ -- 仮説が外れた時に切り替えられるか
3つに手がかかっていれば、対応力の実戦的な土台ができ始めている。
最初の一歩 -- 次の1戦、相手を分類する
次の1戦で、序盤の偵察が終わった瞬間に「相手は3種類のどれか」と頭の中で判断してみよう。判断が合っているか間違っているかは気にしない。判断の瞬間を作ることが目的だ。試合後に、分類が合っていたか、合っていなければどこで気づけたかを1行で振り返る。
このSTEPのまとめ
- 暗記の限界 -- 何十種類も覚えるのは現実的ではない
- 分類の軽さ -- 少ないカテゴリで瞬時に判断する
- 3種類 -- 攻め・守り・中庸の3つでほぼ足りる
- 対応の骨格 -- カテゴリ別に大外ししない対応を持つ
- 分類は仮の道具 -- 絶対ではなく、切り替え前提で使う
暗記の重さを下ろして、分類の軽さに持ち替えること。対応力の実戦的な第一歩は、結局そこに尽きる。攻め・守り・中庸、たった3つ。完璧な対応は要らない、大外ししない対応があればいい。今日の1戦でその3択を一度だけ試してみて、自分の手が少しだけ軽くなったら、持ち替えは成功だ。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。