役割分担で「全員攻撃」をやめる -- 守備の穴を閉じる布陣の考え方
「攻めの時間は長いのに、なぜか失点が止まらない」。対戦を重ねるうちに、このちぐはぐな感覚にたどり着く人は少なくない。ボール保持率は高い、シュート数もそれなりに出ている。それでも試合後のスコアボードを見ると、1-2とか2-3とかで落としている。原因はシュートの精度じゃなくて、全員が攻撃に行ってしまっていることのほうが大きかったりする。ここからは、役割分担というもう一段手前の話に踏み込んでいこう。
「全員攻撃」はなぜ気持ちいいのか
攻める時間は単純に楽しい。味方が前に出ていく映像は視覚的にも気持ちよく、操作している自分も「今、流れが来ている」と感じやすい。だからつい、攻撃のチャンスが見えた瞬間に全ユニットを前に押し出したくなる。
けれど相手の立場から見ると、全員が攻撃に来ている状態は逆にありがたい状況でもある。ボールを1回奪えばそこから無人のエリアに向かってロングカウンター(奪ってすぐ長い距離を走る反撃)を仕掛けられる。ほんの1秒、全員が前を向いているこの瞬間を突かれると、取り返す手段がほぼ残っていない。
役割を「攻め4、守り6」くらいに分けてみる
極端な話、スポーツゲームの中で役割分担を考えるときは、最初から「この試合中、攻めに行くのはこの4人、後ろに残るのはこの6人」みたいなざっくりしたラインを引いておくだけでも十分に効く。完全な戦術家の思考じゃなくて、ただのグループ分けでいい。
- 前線グループ -- 相手ゴール前に走り込んでいい選手
- 中間グループ -- 攻守の切り替えで状況に合わせて動く選手
- 後方グループ -- 原則、自陣から離れない選手
この3層に分けるだけで、試合中の判断が一段軽くなる。前線グループが前に出ていくときも、後方グループが残っているという安心感があるから、無理な押し上げをしなくて済む。カウンターを受けたときも、すでに後ろに人数がいるので崩れにくい。
「引かせる選手」を1人決めておく
もう一歩だけ具体的に踏み込むと、後方グループの中からさらに1人、「この試合では絶対に自陣を離れない選手」を選んでおく、という工夫もある。ディフェンスラインの中央にいる選手に、今日は動かない役を割り当てる。そんな軽い約束だ。
この1人がいるだけで、相手のカウンターに対して最後の砦が常に立っている状態になる。極端な話、他の選手が多少前に出すぎても、この1人が動かないことが保険になる。役割を決めるというのは、全員に違うタスクを渡すことじゃなくて、動かない人を先に確定させる作業だと考えてもいい。
役割分担は「減らす」ためにある
ここで意識したいのは、役割分担が判断を増やすためのものではなく、逆に判断を減らすためのものだという視点だ。「この選手は前に行かない」と決めておけば、試合中にその選手をどう動かそうかと悩む時間がなくなる。悩まずに済むから、他の選手の動きに頭を使える余裕が生まれる。
中級帯で伸び悩む多くの場合、手が遅いのではなく判断の引き出しが多すぎて選びきれなくなっている場合が多い。役割分担は、その引き出しを最初から絞り込んでおく道具と言ってもいい。
今日の1試合で試してみること
次の1試合では、試合開始前に「この選手は動かない」とだけ決めてから入ってみてほしい。誰か1人でいい。その選手を自陣から離さないことだけを意識する。それだけで、攻守のバランスが以前より落ち着いている感触がつかめるはずだ。役割分担の入口は、全員に仕事を配ることではなく、動かない1人を先に決めるところにある。動かない1人が守備の土台を支えるだけで、他の選手の動きに含みが生まれる。逆説的だけれど、最も自由に動けるプレイヤーは、動かない1人を置ける判断ができる人だったりする。役割分担が自由を奪う設計に見えて、実は自由の原資を作っている。この感覚をひとつ持てたら、次回の試合で中盤の選手の動きが少し変わって見えるかもしれない。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。