アビリティを全部撃ったのに、なぜか敵にバラバラにされる。スモークが先か、フラッシュが先か、リコンはいつ撃つか — 攻略動画には「マップごとのライナップ」ばかりで、順序そのものはあまり書かれていない。順序の骨組みを押さえれば、マップが変わっても、エージェントが変わっても、同じ考え方で侵入を組み立てられる。

アビリティを「仕事」で4種類に分ける

まず前提として、エージェントのアビリティは全部で10種類以上ある。それを覚えようとすると、新エージェントが出るたびに更新が必要になる。だが攻めの場面で実際に機能する役割は4種類に絞られる。これを押さえることがセットアップ設計の入口になる。

エージェントは増え続けるが、攻めで使うアビリティは仕事で見ると4種類しかない。情報を「作る/受ける/拒否する/隠す」にそのまま対応する。エージェント単体のスキル名はいったん横に置いていい。

仕事アビリティ種別典型例(公式名)セットアップでの役割
作るリコン系リコールトドローン/オーナーソナー等侵入前に敵位置を割る
拒否するスモーク系クラウド/オーブ/ダークカバー等侵入ルートの視界を切る
受けるフラッシュ系カーブボール/ブラインディングライト等最後の角の敵の視界を奪い、撃ち合いを優位に
隠すトラップ/センサー系シャットダウン/トレイルブレイザー等裏抜けを察知して設置を守る

アビリティ名は公式日本語表記を引用。仕事カテゴリで議論するため、新エージェント追加でも分類は変わらない。

標準テンプレ:リコン → スモーク → フラッシュ → 侵入

4つの仕事を時系列に並べると、サイト侵入の順番は1つに収束する。これがマップを問わず効く標準テンプレだ。アビリティの数が少ない構成では、足りないステップを「仕事の代替」で埋める。

攻め・サイト侵入の標準順序:リコン投擲 → スモーク貼り → フラッシュ投擲 → デュエ侵入 → セン裏抜け保険

1〜4で約3〜5秒。セン(裏抜け保険)は1〜4の裏で並行に動く。

この並びの根拠は「直前のアビリティが効いている間に次を撃つ」連鎖になっていること。リコン情報がフレッシュなうちにスモークを置く、スモークが立っている間にフラッシュで角を割る、フラッシュが効いているうちに侵入する。各アビリティの効果時間を最大限使い切る並びだ。逆順にするほど、前のアビリティが腐る。

なぜ「スモーク → リコン」の逆順が機能しないかを考えると分かりやすい。先にスモークを焚いた瞬間、守りはスモークの動きを見て「ここに攻める」と読む。リコンを投げる頃には、すでに守り側は再配置を終えている。情報の鮮度を最大に保つには、リコン後すぐにスモークで固定する流れが必須だ。

順序を間違えるとアビリティが「予告」に化ける

なぜ順序が大事かは、失敗例を見ると一発で分かる。アンレートで毎日発生している典型パターンが3つある。

失敗パターン何が起きるか正しい順序での回避法
スモークを最初に焚く「ここから攻めます」と敵に予告。ローテで応援が集まる前に撃つメリットがない必ずリコンの次に置く。リコン情報なしのスモークは情報源を持たない攻めになる
フラッシュを最初に投げる侵入していない状態で発動。フラッシュが消えた頃にやっと侵入で、効果ゼロ侵入の0.5〜1秒前に投げる。視界回復の前に撃ち合い優位を作る
デュエがリコン待ちせず突入敵位置不明のまま体で確かめる。1人やられて4v5でラウンド負けリコン情報が共有されてから動く。3秒待つ価値は十分ある

この3パターンはいずれも「急いで動いた結果、後続のアビリティが意味をなくす」という構造だ。焦りが順序を崩す。「リコンが戻ってから動く」という1ルールを守るだけで、初動の失敗は半分近く減るという感覚を持つ選手は多い。

もう1つよくあるのは「フラッシュを遠すぎる位置から投げる」パターンだ。フラッシュの展開角度は投擲位置に依存する。角を曲がりながら投げるカーブ系でも、位置が離れすぎると壁に当たって空振りする。フラッシュ後にすぐ侵入できる距離にいること — 侵入の直前に投げると覚えておくだけで、空振りフラッシュは減っていくはずだ。

チームのアビリティ残量を意識する

標準テンプレを実行しようとするとき、「誰がどのアビリティをいくつ持っているか」の確認が必要になる。試合中にUIで確認できるが、脳の注意をそこに向ける余裕がない場面も多い。そこで使えるのが「声で確認する」習慣だ。

サイト侵入前に「リコン残ってる?」「スモーク何個?」と聞くだけで、チームのリソース状況が1秒で把握できる。これを習慣にしている選手は、使えるアビリティの数に合わせて侵入の規模(全力 or 半分の規模)を即座に調整できる。聞かずに侵入すると、スモーク不足を途中で気づいて引くはめになる。

時間帯で、テンプレの中身を変える

標準テンプレは「取り」の時のもの。遅延・打開では使うアビリティと順番が変わる。時間帯ごとの差分だけ覚えておけばいい。

時間帯アビリティ順序ねらい
取りリコン → スモーク → フラッシュ → 侵入未知のサイトを攻略するための情報サイクル
遅延(攻め)センサー設置 → スモーク維持 → フラッシュ温存設置完了とリテイク撃退に備えてリソースを残す
打開(守り)リコン → ローテスモーク → 集合 → フラッシュ → 突入応援を待ってから情報サイクルをやり直す

遅延ではフラッシュを温存することが効く。設置直後のリテイク打ち合い用に1〜2発残す。

温存(リソース温存)

アビリティを意図的に使わず残しておく動き。取りで全弾使い切ると、設置後の防衛で何もできなくなる。攻めは1〜2発のフラッシュを必ず温存するのが上位帯の標準。プロシーンで「設置後にアビリティがある」選手が有利なのは、この温存設計が機能しているからだ。

1ワードの合図でテンポを5人で揃える

順序が分かっていても、5人がバラバラに動いたら意味がない。1ワードの合図でテンポを揃えるのが上位帯の標準だ。長い指示はラグになるが、1ワードならボイスでも通る。

合図ワード意味誰が言う
「リコン」リコン投擲合図、3秒後に情報共有イニシ
「スモーク」スモーク貼り完了、視界が切れたコン
「フラ」フラッシュを投げる、侵入開始イニシ or デュエ
「Go」侵入開始、デュエ前出るデュエ or IGL
「裏ケア」センが裏抜け保険ポジに入ったセン

野良でも通用する標準語彙。長文より、1ワードを5人で揃える方が成功率が高い。

合図ワードを定着させるコツは「自分が発する側になること」だ。「スモーク」と言えば、いつ侵入すべきかを全員が判断できる。言わなければ、他の4人は「もう侵入していいのか」を各自で判断するしかない。野良でも、この1ワードを出すだけで動きが変わることがある。

最初は「リコン」1ワードだけでいい。自分がイニシを使ってリコンを投げた瞬間に「リコン」と言う。これだけで他の4人は「3秒後に情報が来る、その後スモーク → フラが来る」という流れを脳内で組み立て始める。言葉1つが、チームのセットアップ速度を変える。

「アビリティが足りない」構成での対処法

イニシ・コン・デュエが揃っていてもセンが不在、あるいは全員がリコン持ちでスモーク要員がいない構成になることがある。そういうときは「足りない仕事を別ロールで部分的に埋める」発想が使える。

  • スモーク要員なし → デュエが速攻でサイト制圧。「拒否」の代わりに「侵入時間の短縮」で対応する。視界拒否が必要な時間を最小化するイメージだ。
  • リコン要員なし → コンのスモークでルートを絞り、デュエが体で情報を取りにいく。「作る」を「絞ってから受ける」で代替する。
  • フラッシュ要員なし → スモークで角を塞いで視認不可にする。ショート入口では特に有効。フラッシュの「視界を奪う」をスモークの「視界を切る」で代替できる場面がある。

完全な代替はない。ただし60点の代替ならほぼ常にある。「仕事が欠けているから何もできない」ではなく、「どの仕事を部分的に埋めるか」で考えると、アビリティ構成の問題は半分以上は回避できる。

順序を染み込ませるための自主練法

カスタムマッチで1人でリコン → スモーク → フラ → 侵入を繰り返す練習は、その効果が出るまでに意外と時間がかかる。実戦の速度感が違うからだ。順序を身体に染み込ませるには、実戦の中で「合図を出す側」になるのが一番速い。

アンレートの試合で1試合につき1ラウンド、意識的に「リコン → スモーク → フラ → Go」のコールを自分から出してみる。成功するかどうかより、自分が順序のリーダーになる経験を積む方が大事だ。何ラウンかやると、コールなしで身体が勝手に順序通りに動くようになっていく。

失敗しても問題ない。「スモークを先に焚いて敵に読まれた」というラウンドがあれば、それが一番の教材になる。順序を守った場合と破った場合の差が、自分の身体の記憶として残る。

サイト侵入が一気に揃うコツ:「リコン」と1回声に出すだけで、その日のサイト取りは半分整う。長文指示より、合図1ワードの方が脳の負担も少ない。