「数字は見てるんだけど、何をどう読んだらいいか分からない」— ゴールド帯のソロキューでよく聞く言葉だ。Tracker.ggを開けば、KAST・KD・ADR・ACS・HS%・FK・FD・APRと英字3文字の指標が30以上並んでいる。眺めるだけでお腹いっぱいになって、結局「今日は負けたな」だけ持ち帰って次のキューに並ぶ。1か月後、そのプレイヤーのランクは動いていない。
ところが同じ帯にいて、毎日5分だけTracker.ggを開く別の人は、3か月でプラチナに上がっていたりする。差は「読む指標を絞っているかどうか」だ。30個全部を追う人は何も改善できない。逆にゼロの人は当然変わらない。KAST・KD・ADRの3つに絞った人だけが、毎週何か直して上がっていく。
この3つはそれぞれが別の側面を測っていて、お互い被らない。「立ち位置」「撃ち合い」「ラウンド貢献」のどこに弱点があるかを切り分けるための軸になる。数字の読み方さえ決まれば、リプレイで何を見るかも、明日のデスマッチで何を意識するかも、自然と決まってくる。
KASTは 「チームに参加できているか」。KDは 「撃ち合いに勝てているか」。ADRは 「毎ラウンド仕事しているか」。直近20試合の平均で並べると、自分の弱点が立ち位置側なのかエイム側なのか、それともアグレッシブさが足りないのかが、ほぼ一意に決まる。
1. 30個の指標から、なぜこの3つを残すのか
Tracker.ggの戦績ページには、英字3文字の指標が縦にずらりと並ぶ。KAST、KD、ADR、ACS、HS%、KPR、APR、FKPR、FDPR、Plant、Defuse、Multikills…。一度全部覚えようとした人なら分かるはずだ。覚えてもどこから直せばいいかは分からない。指標は地図ではなく、ただの座標表示なので、地図側を別に持っていないと使えない。
だから「全部追う」ではなく「3つに絞る」ほうが速い。基準は 「お互いを補完し合っていて、被らないこと」。チーム貢献/個の戦闘力/毎ラウンドのインパクトという別々の軸を、KAST・KD・ADRがちょうど1つずつ担っている。並べて2分眺めるだけで、自分のプレイの欠けが見えてくる。
| 指標 | 測っている側面 | 他の指標で代替できるか |
|---|---|---|
| KAST | チームに何かしら関与できているラウンド比率 | 代替不可。生存と即トレードまで含めて測れるのはKASTだけ |
| KD | 個人の撃ち合い勝率 | HS%は撃ち合いの「質」を見るが「勝率」はKDのほうが直接的 |
| ADR | 毎ラウンドのダメージ寄与 | ACSは似ているがファーストキルやマルチで歪むのでADR優先 |
| ACS | 合成スコア(ダメージ・キル・FK等を加重) | KAST+ADRで概ね分かる。重複指標 |
| HS% | ヘッドショット率 | 個別ドリルの効果測定用。総合判断には不向き |
| FK / FD | ラウンド最初のキル/デス | 役割依存(デュエリストでないと意味薄い)。常時見る必要なし |
| KPR / DPR | ラウンドあたりキル/デス | KDで概ね分かるため二重に追う必要なし |
| APR | ラウンドあたりアシスト | イニシ/コン特化指標。サブ指標として後で見る |
| Plant / Defuse | スパイク設置/解除回数 | マップとロールに依存。常用には不向き |
| Clutch | 1vN勝利数 | サンプルが極端に少ないため統計化に不向き |
KAST/KD/ADR以外がまったく無意味というわけではない。HS%はエイム個別ドリルの効果測定で見る価値があるし、FK/FDはデュエリスト専門で運用するときに使う指標になる。ただ、毎週見る常用指標は3つに絞ったほうが、迷わずに済む。残りはケース別に必要な時だけ取り出す予備に回す考え方だ。
VALORANTの戦績を試合別・直近平均で確認できる外部サイト。Riot公式APIに準拠しており、ゲーム内のMatch Historyより過去にさかのぼれる範囲が広く、KASTやADRなどの2次指標も自動計算してくれる。Riot ID(例: PlayerName#JP1)を検索するだけで全試合の数字が並ぶ。直近20試合の平均値が標準で表示されるため、サンプル数の指定も不要だ。
Tracker.ggの代替系の戦績サイト。ゲームを起動中にPC上でオーバーレイ表示する機能があり、味方/敵のランクやエージェント勝率をロード画面で確認できる。指標の定義はTracker.ggとほぼ同じだが、UIが異なる。両方使う必要はない。慣れている方を選べばいい。
VALORANTクライアント内の「マッチ履歴」でも各試合の戦績は見られるが、過去20試合より前にさかのぼれず、2次指標(KAST/ADR)も計算してくれない。振り返りはTracker.gg側、対戦中の確認はクライアント側と使い分けると便利だろう。
2. KAST — 「チームに参加できているか」を見る
まずKAST。「死ぬだけで終わるラウンドが多い」状態を炙り出す指標で、勝敗との相関が最も強い。VALORANTは1ラウンドで人数差がそのまま勝ち負けに直結するゲームだから、ラウンドのどこかで関与できているかどうかが、最終スコアに直接効いてくる。
「自分が試合に絡めているラウンドの割合」
キル・アシスト・生存・即トレードキルされる、のいずれか1つでも当てはまったラウンドの比率。100に近いほど、毎ラウンド何かしら貢献している。低い=「死ぬだけで終わるラウンドが多い」状態を意味する。VALORANTのチーム戦が「人数差ゲー」なので、KASTは勝敗との相関が最も高い指標とされる。
ランク帯別の目安は次のとおり。絶対値ではなく 「自分の帯の平均との差」 で読むのが正しい。プラチナ帯の人がイモータル平均と比べて「自分は低い」と落ち込むのは意味がない。比較は同じ帯の中でする。
| ランク帯 | KAST 平均の目安 | 低すぎる目安(改善余地大) |
|---|---|---|
| アイアン〜ブロンズ | 55〜62% | 50%未満 → 立ち位置を見直す |
| シルバー〜ゴールド | 62〜68% | 58%未満 → リテイクの判断を学ぶ |
| プラチナ〜ダイヤ | 68〜74% | 63%未満 → 1人で突っ込む癖を直す |
| イモータル以上 | 72〜78% | 68%未満 → ローテのタイミングを見直す |
数値はTracker.ggやReddit集計から要約した目安。シーズンや構成によって5%程度は前後する
KASTが平均より下がっている時、最初に疑うべきは立ち位置とローテだ。エイムの問題ではない。撃ち合いに巻き込まれる前に死んでいる、もしくは味方と離れすぎている。改善は「死亡シーンだけリプレイで5分見る」が最も速い。
もう一つよくあるのが「KASTは普通に見えるけど、実は生存(Survive)で稼いでいるだけ」というパターン。逃げ回って生き残るだけの試合は、KASTには加算されるが勝敗には貢献していない。生存だけで稼ぐ人はADRが極端に低くなる傾向があるから、KASTとADRは必ずセットで読む。
| KAST構成のサブ要素 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| Kill | そのラウンドでキルを取った | 最も健全な貢献。デュエリストならここ多め |
| Assist | キルアシストが付いた | イニシエーターやコントローラーの主貢献 |
| Survive | そのラウンドを生き残った | 生存のみ依存はADRが下がる。要警戒 |
| Trade | 味方が即トレードキルしてくれた | 味方を信じて先に出る判断ができている証拠 |
サブ要素はTracker.ggの定義に準拠。ロールごとにどの要素が高くなるかは異なる
KAST別の典型シナリオ
数字だけでは伝わらない部分があるので、シナリオに落として見ていく。同じKAST 60%でも、構成が違えば改善方針が変わってくる。
| KAST | 構成例 | 典型的な状況 | 次にやること |
|---|---|---|---|
| 60% | K35% / A10% / S15% / T0% | キル中心だが孤立気味、トレードが取れていない | 味方の射線を借りる動き、ピーク前に位置共有 |
| 60% | K15% / A20% / S25% / T0% | 後ろで生存しがち、貢献の輪郭が薄い | サポートロールでもキル参加できる位置取り |
| 70% | K30% / A20% / S10% / T10% | 健全な構成、トレードも取れている | このまま継続。次は撃ち合い精度に伸びしろ |
| 50% | K20% / A10% / S15% / T5% | ラウンドの半分しか絡めていない | 立ち位置から見直し、リプレイで死亡シーン分類 |
構成比は概念的な例。Tracker.gg画面では明示されないため、リプレイで自分のラウンドを振り返るときの判断軸として使う
3. KD — 「撃ち合いそのものに勝てているか」を見る
タイマンの強さを測るのがKD。低い時は、エイムか立ち位置のどちらか、あるいは両方に問題がある。KASTが低い時は「絡めない」問題だが、KDが低い時は「絡んだけど負けた」問題だ。この違いを知っているかどうかで、次に練習すべき内容が完全に変わる。
「1デスあたり何人倒したか」
キル÷デス。1.0で五分、1.2以上で勝率に貢献しているのが一般的な目安。VALORANTは1ラウンドで人数差が勝敗に直結するゲームなので、KDが高いほど勝ちやすくなる。ただし「KDだけ高くて勝てない」現象もよくあり、その場合は次のADRも見る必要が出てくる。
| ランク帯 | KD 平均の目安 | 低すぎる目安(改善余地大) |
|---|---|---|
| アイアン〜ブロンズ | 0.8〜1.0 | 0.7未満 → エイム土台に戻る |
| シルバー〜ゴールド | 0.95〜1.1 | 0.85未満 → ピーク3種を見直す |
| プラチナ〜ダイヤ | 1.0〜1.2 | 0.9未満 → 1on1の局面を細かく見る |
| イモータル以上 | 1.05〜1.25 | 0.95未満 → スキル駆使へ |
KDの中央値はランクが上がるほど1.0に近づく(強い人同士が当たるため)。0.85〜1.15のレンジが大半
KDが平均より低い場合、原因は大きく分けて2つある。エイム精度そのものが足りない場合と、撃ち合う前に不利な状況に入ってしまっている場合だ。前者ならデスマッチで対処できるが、後者はデスマッチをいくらやっても直らない。立ち位置の問題は、立ち位置でしか直せない。
KDの読み方の落とし穴として、HS%とのセットがある。KDが低くてもHS%が25%を超えていれば、エイム精度はそこそこある証拠。その場合は撃ち合いに入る前の準備(クロスヘア配置・ピークタイミング)に問題が寄っているケースが多い。逆にHS%が15%を切っていれば、エイム土台が抜けている。
KDとHS%の組み合わせで見える4象限
KDだけだと原因が割れないので、HS%と組み合わせて2軸で見ると、改善ポイントが切り分けられる。
| KD\HS% | HS% 高(25%以上) | HS% 低(15%以下) |
|---|---|---|
| KD 高 | 理想形。撃ち合いの質と量どちらも高い | 頭以外を当てる撃ち方。SMG/ライフル使用過多の可能性 |
| KD 低 | 当たる時は当たるが頻度が低い → 立ち位置で撃ち合えていない | エイム土台が薄い → デスマッチで地力をつける |
「KDが0.8以下が3試合続いたら、ランクをやめて1日デスマッチに戻る。撃ち合いそのものが崩れている時にランクを回しても、ストレスが溜まるだけで何も学ばない」という考え方は、プロのコーチング現場で繰り返し語られる原則だ。
KDが連続で下がる時の応急処置
連敗中のKDの落ち込みは、エイム土台の問題だけでなく、メンタル要因も大きい。下記を参考に応急処置を取ってみるといい。
| KD連敗パターン | 応急処置 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 3試合連続で0.8以下 | ランクを止めてデスマッチを1〜2試合 | 20〜30分 |
| 1日全試合で平均0.7以下 | その日のVALORANTは終了。翌日リセット | 翌日まで休む |
| 1週間 KD 0.85以下が続く | 感度設定の見直し + デスマッチ重点運用 | 1〜2週間の調整期 |
| 2週間以上0.9を超えない | エイム土台のドリルを採用 | 1か月単位 |
4. ADR — 「毎ラウンド仕事しているか」を見る
KASTとKDが普通なのに勝てない。そういう時にADRを見る。ADRは「ラウンドあたりの平均ダメージ」だから、ラウンド単位で「毎回何かしら貢献しているか」を別の角度から照らし出す。
「1ラウンドで平均何ダメージ与えたか」
ADRはAverage Damage per Round。1ラウンドで100以上削れていれば「毎ラウンド仕事をしている」水準。KDが普通なのにADRが低い場合、「キルは取るがダメージは削れない=美味しいキルだけ拾う」傾向を意味する。逆にADRが高くてKDが低い場合は「削るが詰めきれない/詰めて死ぬ」傾向だろう。
| ランク帯 | ADR 平均の目安 | 低すぎる目安(改善余地大) |
|---|---|---|
| アイアン〜ブロンズ | 110〜130 | 100未満 → 撃てる場面で撃てていない |
| シルバー〜ゴールド | 125〜145 | 115未満 → 持ち場の射線数を見直す |
| プラチナ〜ダイヤ | 135〜160 | 125未満 → スキル+射撃の連動へ |
| イモータル以上 | 145〜170 | 135未満 → トレード意識へ |
エージェントロール(センチネル/コントローラー/イニシエーター/デュエリスト)で10〜20の差が出る傾向がある
ADRはロールによって出やすい・出にくいがある。デュエリストは前に出る役なのでADRが高くなりやすく、センチネルは後方で守る役なので低くなりやすい。同じ140でも、ジェットでは「平凡」だがサイファーでは「上出来」だったりする。ロール別の自分の平均を3か月分持っておくと、誤読が減る。
| ロール | ADR平均の出やすさ | 注意点 |
|---|---|---|
| デュエリスト | 高い (140〜160が標準) | 低いと役割を果たせていない疑い |
| イニシエーター | 中〜高 (125〜145) | スキルアシストでKAST稼ぎがちな点に注意 |
| コントローラー | 中 (115〜135) | スモークの出来でADRが大きく上下する |
| センチネル | 低〜中 (105〜130) | 守備位置に依存。罠アシストはADRには加算されない |
ロール別ADRはVCT 2025データおよびprosettings集計の要約値
ADRの読み方が分かりにくい例
「ADRは高いけどKDは低い」「KDは高いけどADRは低い」という非対称な数字の出方は、改善ポイントが特定しやすい。
| KD | ADR | 典型的な行動 | 修正方針 |
|---|---|---|---|
| 1.3 (高) | 120 (低) | 美味しいキルだけ拾う、戦闘参加が後手 | ラウンド序盤から撃ち合いに参加。先撃ち権を取りに行く |
| 0.9 (低) | 160 (高) | 削るけれど詰めきれない、もしくは詰めて死ぬ | ピーク後の引き戻しを覚える、深追いを止める |
| 1.2 (高) | 155 (高) | 順調。さらに伸ばすならクラッチ参加率を上げる | 1vNクラッチの練習をカスタムで反復 |
| 0.8 (低) | 110 (低) | 撃ち合いの量・質ともに足りない | エイム土台に戻り、立ち位置を見直す |
5. 高低の組み合わせで「何を直すか」が決まる
ここまでの3指標を、自分の帯の平均と比べて「高い/低い」の2値に置く。組み合わせは8通り。それぞれに、典型的な弱点と次の練習方針が対応する。直近20試合の数字を当てはめて、自分がどこにいるか確認してほしい。
| KAST | KD | ADR | 典型的な弱点 | 次に向かう領域 |
|---|---|---|---|---|
| 低 | 低 | 低 | 立ち位置・撃ち合い両方 | エイム土台の再構築から |
| 低 | 高 | 低 | キル拾うが孤立死 | コール・合わせの強化 |
| 低 | 低 | 高 | 削るが死ぬ/詰めて死ぬ | 立ち位置と練習設計の見直し |
| 低 | 高 | 高 | キャリーするが味方と分断 | ソロQで合わせるコール |
| 高 | 低 | 低 | 居るだけ/弾を当てない | カウンターストレイフから戻す |
| 高 | 高 | 低 | 美味しいキル拾い | スキルで撃ち合いを傾ける |
| 高 | 低 | 高 | 削れるが決定力不足 | リテイクの引き出しを増やす |
| 高 | 高 | 高 | そろっている → 帯が上がる時期 | ランク帯ごとの壁を意識する段階へ |
6. 数字を読むときによくある誤読
数字に慣れていない人ほど、ありがちな読み間違いをする。特に多いのが次のパターンだ。誤読のクセを先に知っておくと、無駄に落ち込んだり、間違った練習方針を立てたりせずに済む。
| 誤読パターン | 何を間違っているか | 正しい読み方 |
|---|---|---|
| 「KDが1.0だから自分は普通」 | 帯が上がるとKD中央値は1.0付近に集まる。ランク帯と比較しないと「普通」にしかならない | 同じ帯の上位30%目安と比較する |
| 「ADRが120だから低い」 | ロール別の差を無視している。サイファーで120は健全 | ロール別の目安と照らし合わせる |
| 「直近5試合のKDだけ見て一喜一憂」 | サンプル数が少なすぎる。1試合で0.3以上ぶれる | 20試合の平均でしか判断しない |
| 「HS%が高いからエイムは大丈夫」 | HS%は当てた弾の中の比率。撃った弾の絶対数が少ないと意味が薄い | HS% × KD で見る。HS%だけで判断しない |
| 「KASTが低いのはエイムのせい」 | KASTはチーム関与の指標。エイム改善では直りにくい | 立ち位置・ローテから見直す |
| 「ACSが下がったからダメ」 | ACSは合成スコアで歪みやすい | KAST/KD/ADRで分解して見る |
| 「FK(ファーストキル)が0だから貢献していない」 | FKはデュエリスト指標。他ロールでは重要度低い | ロールに合った指標で評価する |
| 「勝率を上げるためにKDを犠牲にしてOK」 | 場面によるが、長期的にはKD改善のほうが勝率も上がる | KDも勝率も同時に追う。短期の入替戦略は危険 |
7. 5分間ルーティーン — 試合後にやること
ここまで読んだ内容を、毎日の習慣に落とす。試合終了後の5分間でTracker.ggを開いて、3指標を確認する。
ブックマークしておけば1クリック。ログインは不要(公開データ)。
表示は標準で過去20試合の平均。スクロールせずに上部に出ている数字だ。
暗算でいい。「ゴールド帯のKAST平均は65%、自分は60% → 低」のように。
5章の表を見て、自分のセルに対応する「次に向かう領域」を確認。
「明日はカウンターストレイフだけ意識する」のように、領域を1つ選んで日記やメモに書く。
ポイントは 毎週やり直さない こと。一度決めた領域を最低2週間は固定して、データで動きを確認してから次の領域に移る。週ごとに変えると、何が効いたか分からなくなる。
記録テンプレ — 1週間分のメモ
確認するだけでは記憶に残らないので、メモに残す。フォーマットは下記くらいの粗さで十分。
週開始: 2026-05-04 (月) 直近20試合 平均: KAST: 64% (帯目安 62-68%) → 中 KD: 0.97 (帯目安 0.95-1.1) → 中 ADR: 118 (帯目安 125-145) → 低 組み合わせ判定: 中・中・低 → 「美味しいキル拾い気味」 今週のテーマ: スキル使用率を上げる。死亡時にスキル残しを0にする 週末再確認: 2026-05-10 (日)
8. 数字との付き合い方 — 計測しすぎないために
Tracker.ggは便利だが、毎試合チェックするとメンタルに悪影響が出る。試合直後は感情が乗っているから、数字を見ても客観的に読めない。
推奨は 1日1回、夜の振り返りタイムだけ。あるいは1週間に1回でも構わない。1試合ごとに開いてはいけない。「数字は週単位の指標」として運用すると、メンタルとパフォーマンスの両立が取れる。
もう一つの注意点は、数字が下がった時に「自分はダメだ」と落ち込まないこと。数字は「次に何を直すか」のヒントであって、自分の人格評価ではない。下がった指標は、伸びしろが見える化されたサインだ。落ち込むのではなく、ヒントを得たと受け取ってほしい。
数字を見る頻度の目安
| 頻度 | 運用イメージ | 向く人 |
|---|---|---|
| 毎試合 | 非推奨。メンタル消耗が大きい | 誰にも向かない |
| 1日1回(夜のまとめ) | その日のラスト試合後にまとめて | 毎日3試合以上回す人 |
| 2〜3日に1回 | 負け試合の翌日に確認 | 平日プレイ少なめの人 |
| 1週間に1回(月曜の朝) | 週単位で振り返る | 計測疲れしやすい人 / 上級者 |
9. よくある質問
Q. 試合数が少なくてもTracker.ggは使えますか?
直近20試合のデータがなくても、Tracker.gg自体は表示される。ただし、サンプルが少ないと数字が大きくぶれる。10試合未満では「目安」程度に留めて、20試合溜まってから本格的に運用するのを推奨。
Q. 同じ帯にいる友達と数字を比較するのは意味がありますか?
比較自体は構わないが、メンタル面で消耗するなら避けたほうが良い。比較対象は「過去の自分」のほうが、改善方針につながりやすい。先月の自分と今月の自分でKASTがどう動いたか、という時系列比較を推奨したい。
Q. ロールごとに数字を分けて見るべきですか?
イモータル以上なら分けたほうがいい。それより下の帯では、メインロールの数字だけ追えば十分。サブロールに手を出してADRが下がっても、それは練習中の証拠で、ネガティブに捉える必要はない。
Q. 数字が一か月動かないのはなぜですか?
上達は階段状で起きる。1か月単位では変化が見えなくても、3か月単位で振り返るとジワジワ動いていることが多い。停滞が続くと感じたら、「練習しているテーマが今の帯の壁と一致しているか」を確認する。合っていないなら、帯ごとの壁の記事を読んでテーマを見直してほしい。
10. 実戦シナリオ — 4人のソロキュー仮想例
同じ「Tracker.ggを開いて3指標を見る」という運用も、現在地が違えば次の一手が変わる。実際にありそうな4ケースを並べる。
シナリオA: ゴールド3で3か月停滞中の社会人プレイヤー
直近20試合の数字: KAST 60% / KD 0.93 / ADR 122。帯目安と比べると、KAST・ADRが下振れ、KDも下限ぎりぎり。8通りの組み合わせ表で「中・中・低」に近く、典型は「美味しいキル拾い気味」のパターン。
リプレイで死亡シーンを5デス分見ると、4デスが「サイト侵入時にスキルを残したまま死んでいる」状況だった。スキルを使い切らずに撃ち合いに入っているせいで、他人の射線で削れていた敵に止めを刺すパターンばかりになり、ADRが伸びていない。修正方針は「侵入前に持っているスキルを必ず1つ撃つ」を2週間継続。2週間後にKAST 65% / ADR 135まで動けば成功だ。
シナリオB: シルバー1のエイマー型プレイヤー
直近20試合の数字: KAST 58% / KD 1.15 / ADR 142。KDとADRは帯目安を超えているが、KASTが平均より下。「低・高・高」のパターンで、典型は「キャリーするが味方と分断」。
リプレイで見ると、サイト侵入時に1人で先行して、敵を2人倒した後で3人目に詰められて死ぬ流れが多発。撃ち合いには勝てているが、味方を待たずに動くため、人数差で押し切られている。修正方針は「ピーク前に味方の位置を見る」と「味方が動き出すまで自分も動かない」を1週間限定で意識してみるといい。1週間後にKASTが65%まで上がっていれば、そのまま継続。
シナリオC: プラチナ2で守備型のセンチネルメイン
直近20試合の数字: KAST 71% / KD 0.95 / ADR 108。KASTは帯目安内で良好だが、KD・ADRが下限を下回る。サイファー・キルジョイをメインに使っていて、罠アシストでKASTを稼いでいる構成。
KAST構成のサブ要素を推測すると、Survive成分が高い。罠を置いた後にエンゲージしていない時間が長く、ダメージが伸びていない。修正方針は「罠を置いたあと、味方の侵入に合わせて1ピークだけする」。1週間後にADRが120を超えていれば成功。
シナリオD: ダイヤ1でデュエリストメインのアグレッシブ型
直近20試合の数字: KAST 65% / KD 1.18 / ADR 158。KDとADRは帯目安の上限近く、KASTが下限ぎり。「中・高・高」の組み合わせで、ファーストキルは取れているが、即トレードされて死ぬパターンが多そうだ。
リプレイで見ると、ファーストキル取得後の引き際が浅く、2人目とのトレードキルで死ぬパターンが多い。修正方針は「ファーストキル後、必ず一歩引いてから次の判断」を意識する。3週間後にKASTが70%を超えていれば、ダイヤ2への足場が整ってくるはずだ。
11. 自分の数字を3か月単位で記録する
1日や1週間の動きはノイズが大きい。本当の上達は3か月単位で見てようやく見えてくる。だから、月初に1回だけスナップショットを取る運用が一番安定する。
| 月 | KAST | KD | ADR | その月のテーマ | ランク変動 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 60% | 0.93 | 122 | スキル使用率を上げる | ゴールド3で停滞 |
| 2月 | 64% | 0.97 | 135 | 立ち位置の見直し | ゴールド3 → プラチナ1 |
| 3月 | 67% | 1.02 | 140 | VC優先順位の徹底 | プラチナ1 → プラチナ2 |
仮想例。実際は1か月で帯が動くとは限らない。3か月で1帯動けば順調
こうして記録しておくと、過去の自分との比較が定量的にできる。「2か月前より KAST が4ポイント上がった」「ADRは2か月変化なし」のような事実は、感覚では絶対に掴めない。記録は1か月10秒で済むので、続ける価値は十分ある。
12. 数字を見るのが苦手な人向けの最小運用
ここまで読んで「やっぱり数字を毎週見るのはしんどい」と感じた人もいるはず。その場合は最小運用に切り替えてみるといい。Tracker.ggを開くのは 「2週間に1回」 でいい。確認するのもKAST 1指標だけ。
KAST単体でも、ラウンド貢献の傾向はかなり見える。週末の夜、土曜か日曜のどちらかでTracker.ggを開いて、KASTだけ確認する。下がっていれば立ち位置から見直す、上がっていればそのまま継続。これだけでも、何も見ない人と比べて伸びやすさは変わってくる。
慣れてきたらKD・ADRに広げる。最初から3指標を完璧に追う必要はない。続けることが第一、精度は後の順序で取り組もう。